3.繁殖の手法
2項で述べた「ライン(系統)」を応用した、繁殖のテクニックがあります。
「計画繁殖」の手法の一つと言えると思います。
主な手法は以下のとおりです。
◆異系繁殖(アウトクロス)
父母が全く違う系統の繁殖で、ボクサーは歴史も浅く、また海外からの輸入犬の数も限られていることから、完全なアウトクロスを実現するのは容易ではないかもしれません。
敢えて申し上げれば、ドイツタイプとアメリカタイプの組み合わせによる繁殖は、異系繁殖と言えます。
◆同系繁殖(ラインブリード)
父母の先祖が共通した血統の繁殖です。
ドイツタイプでは、そもそもの系統数が少ないですから、絶対数が少ない日本では、これもなかなか難しいかもしれません。
◆家系繁殖(ラインブリード)
定義としては、父母の5代祖~10代祖の間に共通の先祖がある繁殖です。
このあたりになると、日本でも計画的な繁殖が可能だと思います。
◆近親繁殖(インブリード)
定義としては、父母の4代祖以内に共通の先祖がある繁殖です。
日本ではこれが最も一般的かもしれません。
近親繁殖は、さらに以下の3つに分けられています。
◎極近親繁殖
定義としては、仔犬の2代祖以内に共通の先祖がある繁殖です。
つまり、親子、兄弟、祖父母と孫という配合になります。
この配合は、十分にその系統の良さと悪さを理解している人のみが行う繁殖だと思います。
タイプが強烈に遺伝されますが、つまりは良い点も欠点も強烈に伝わるということです。
過去に、ヨーロッパや日本でも、この繁殖手法で成功した事例が沢山ありますが、個人的な感想としては、その後も代を経てラインを継続させるような種牡を輩出するのは難しいと感じています。
それは、極近親繁殖犬であるが故に、暫くの代に渡って交配相手が制限されるからでしょう。
◎近近親繁殖
定義としては、父母の3代祖以内に共通の先祖がある繁殖です。
叔父と姪、従姉妹同士という配合になります。
◎遠近親繁殖
定義としては、父母の4代祖に共通の先祖がある繁殖です。
これが最も多い近親繁殖の配合でしょう。
馬学にならって、3-4(父方の3代祖と母方の4代祖に共通の先祖を持つ組み合わせ)あるいは4-3という配合を、「奇跡の血量」と言い、その先祖犬が優秀である場合は繁殖の成功する確立が多いと言われていますが、
どうでしょうか?
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